NATURE GUIDE
札幌出身で足立区在住の写真家、高田洋三による作品集
髙田はこれまで自衛隊員による札幌雪まつりの雪像制作の様子を撮影したシリーズ「カムフラージュ」や青森県六ケ所村のエコシステムの研究施設を撮影した「Simscape / タネをまくヒト」など人工的な自然を通して人と自然の繋がりを撮影し続けてきた
本書は初の作品集で、アリゾナ州オラクルにある地球システム科学の研究施設「バイオスフィア2」を2008年から2018年の10年間に渡り撮影したもの
地球の生物圏の代わりとして、宇宙空間での人間の生活を支え、維持するための閉鎖生態系の実現可能性を実証することを目的として作られたバイオスフィア2では、90年代に実際にこの閉鎖された空間で研究者たちが生活するといった実験も行われていた
本書では、すでに実験は行われておらず人や生き物が姿を消してもなお生い茂る植物たちの様子や、残された少しの生活感、環境維持のためのシステムなどの人工物が写されている
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90年代のアリゾナにて、閉鎖環境下にエコシステムを構築する実験を行った 「バイオスフィア2」の現在を撮影した写真集。
子供時代に空想していたような SF の世界が繰り広がる。未来と廃墟が混在する実験場を探索した10年の記録。自然や風景について考えた、その道程を示すガイドブック。
時を経て本来の実験目的から解き放たれた実験場の風景は、自然と人工、未来と廃墟が混在し、その境界が溶解しているように見える。 それは、自然や人がつくる風景について考察するきっかけや、自由な解釈に開かれた空間を私達に提供してくれる。 本書はバイオスフィア 2 のメカニズムについての解説書ではなく、かつて研究者が自然を探求したそのアプローチを追体験しようと試みる。
「実験場の中でばらばらに存在したエレメントが、ささやかな自然の循環系を構築していくように、人も自然とのつながりを手探りしながら、 自分にとっての風景をつくっていく」。読者は短いテキストと定点観測による写真を頼りに、連続する風景の背景にある循環を読み取っていく。
写真家・高田洋三による初の写真集。人と自然とが相互関係的につくりだすランドスケープを写真におさめてきた写真家による集大成作品。
写真・文章・編集:高田洋三
ブックデザイン:関川航平
英語翻訳:田中クレア
発行:sheepbook
発行日:2024年 4月9日
ISBN978-4-600-01360-8
25cm×19.5cm 128 ページ
オフセット印刷
価格 : 3,500円 (税別)