DOSOJIN Appreciate a common shape Zine
2025.2.28-3.11まで学芸大学のSUNNY BOY BOOKSで開催された伊藤眸の個展「“DOSOJIN” Appreciate a common shape」にて販売された、日本各地にある道祖神をモチーフにした絵画作品の作品集
前回は長野県などに多くある石像道祖神をモチーフにしていたのに対し、今回は群馬県吾妻地方の"ツクリモノ"という風習の一つである家の中に祀る木の道祖神をモチーフに描いた
平面作品50点収録
限定200部
以下展覧会statement
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「道祖神」というのは日本に古くからある 民間信仰の道の神で、村への厄災いを防ぎ子孫繁栄などを祈願するために祀られる石 像や藁、木でできた人形のことである。
道祖神には地域によって小正月の短い期 間、木で作った道祖神人形を神棚に飾る地域もあるらしい。また道祖神信仰を家の中 に持ち込もうと独自に道神面という民芸玩 具を作った作家もいる。
今回はそのような 家の中に招き入れられた道祖神をモチーフに架空の道の神を描いた。
所謂アノニマスデザインというような、 ホームセンターで売られているネジや工具、何に使うのか素人の自分では想像もできないような物の形に惹かれることがある。ホームセンターの中だけではなく日常の中にも、例えば建設中の高層ビルにかけられている防音カーテンの裾が縛られ並ん でいる時の美しさ、その大きさゆえに少し厳かな様子。工業製品ゆえの完璧なシンメ トリー、束ねられた札の整然とした塊、西日があたる壁にできた光のかたち、羽に見えるような服の背中の膨らみも、全く意図されていないのに神々しさがある。
幼い頃私の中にいた名前も形もない神のようなもの、ただ願い事をする対象のようなものに形を与えたいと思ったとき、おそらくそれは名もなき美しさのようなものだ。
なんだか形のいい石をただ置いたり小さな木や藁人形に顔を描いた道祖神があるように、現代に生きる自分が勝手に神のようなものを作るとしたら、その辺りにあるありふれたもので作らなければいけない気がした。
家の中の神をつくるのだから、やはり 額などの材料はホームセンターで揃えたい。 そういえば日本のホームセンターには当たり前のように神棚やお札ホルダーなるものが売られている。木材や工具と同じように、祈りのための道具がただそこに並んでいる。
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artist:伊藤眸
size:148×210mm
page:60p
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